第8章 お引越しとお宅訪問
杏寿郎は更紗から神久夜を受け取り腕に抱きとめると、よく頑張ったと言わんばかりに背を軽く叩いてやっている。
更紗はホワホワした気持ちになりながら手紙の封を切り、内容を読み上げる。
「姫さん、煉獄へ
嫁達が派手に会いたがってる
2人が任務のない日に家に来い
飯はこっちで用意するから何もいらん
日取りはいつでもいい
もう1枚に住所と地図を入れてある
それを参考にしてくれ
祭りの神 宇髄天元様」
読み終えて封筒の中身を確認すると、手紙の内容通り住所と地図が書かれた紙が出て来た。
「との事です。杏寿郎君、どうされますか?」
手紙と地図が杏寿郎に見えるようにしながら尋ねると、杏寿郎は喜んでいるような呆れているような、どちらともとれる表情になった。
「招いて頂けることは有難いな!だが、鎹鴉……特に神久夜がこのような伝言に遣われるのは不憫だ……しかも任務が入らぬ日など分からん!」
神久夜は相当疲れているようで、杏寿郎の腕の中でウトウトと船を漕ぎ出した。
このまま杏寿郎に預けておくのもしのびないので、更紗は神久夜を受け取り自分の腕の中で休ませてあげることにした。