第8章 お引越しとお宅訪問
(え?!柱に友達いるの?しかも祝言って……煉獄様と婚約してるの?!)
一瞬固まった後、杏寿郎の言葉を確かめるように更紗を見ると、恥ずかしそうに頬を薄紅色に染めながらも幸せそうに頷く少女が1人……
(柱と婚約とか……特殊過ぎて馴れ初めが気になるけど!)
まさか問いただすことも出来ず言葉を飲み込んで、杏寿郎の言葉に返事を返す。
「こちらこそこれからも良い関係を望んでおります。そ、それに祝言を挙げる際に、お呼びいただけるならばぜひ参列させていただきたいと思います」
自分の想像以上の2人の関係に動揺しつつも、可愛い妹のような更紗の花嫁姿には純粋に興味がある。
杏寿郎は棗の返答に感極まり、軽く抱いていた更紗の肩を引き寄せ、自分の胸に誘いギュウッと抱きしめた。
「君の笑顔が増えるな。それが何よりも嬉しい、父上も千寿郎も、宇髄や甘露寺や胡蝶や不死川も喜んでくれるだろう」
次々と錚々たる柱達の名前の羅列に棗は軽く目眩を覚え、またそれに喜んでいる更紗へ畏怖の念を感じ、心の平穏の為にこの部屋から離れようと決心する。