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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第8章 お引越しとお宅訪問


杏寿郎は更紗の頭に手を置き、力強い見た目に反して壊れ物を扱うかのように柔らかくそれを撫でる。

「はい!でも、棗姉ちゃんの両親は……」

悲しみに顔を伏せる更紗に、杏寿郎も棗が鬼殺隊に属している理由を察し棗を見る。

「すまない、君は両親をなくされたのだな。配慮が足りんかったようだ」

頭を下げる杏寿郎に、棗は慌てて首を激しく左右に振って否定する。
柱である杏寿郎にそんな事をされるなど、夢にも思わなかったのだろう。

「頭をお上げください!鬼殺隊に属する理由など、皆それほど変わりません!両親は亡くなりましたが、こうして更紗さんと再会出来ましたし、嬉しい事も多々あります」

顔を上げた杏寿郎は穏やかな笑みを浮かべると、更紗の肩を軽く抱きながら棗に言葉を返す。

「昔馴染みに願うのは可笑しいかもしれんが、この子と仲良くしてやって欲しい。歳の近い柱でない剣士の友も必要だと思う。そして、俺達が祝言を挙げる時にはぜひ参列してくれ!」

棗の脳内には処理しきれぬ杏寿郎の言葉が2つ。
1つは更紗には柱の友が居るということ。
2つは祝言を挙げる時ということ。
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