第8章 お引越しとお宅訪問
翌朝、顔を洗い、家の人が綺麗に洗い乾燥までしてくれた隊服に着替えて朝餉を山ほど腹におさめると、更紗は棗と自分の体中についた深い傷のみの治癒を終え……
家路に着く前に向かい合って座っている……と言うより、棗によって座らされている。
「さて、姉ちゃんに話してみなさい!煉獄様と更紗ちゃんの関係を」
一晩寝て忘れていてくれればと思っていたが、そうはいかなかったようで、更紗はこうして問い詰められている。
「関係と言われましても……私の独断で話していいものか……」
と更紗が言い淀んでいる所に、廊下を勢い良く歩く音が2人のいる部屋へ向かって来たかと思うと、勢い良く襖が開けはなたれた。
「更紗!大丈夫か?!傷だらけだと鎹鴉伝手に聞いたのだが!」
「え?!杏寿郎君、任務だったのでは?」
なんとそこには杏寿郎がおり、まるで更紗しか見えていないように更紗の前まで歩を進めると、跪き優しく抱きとめる。
「任務は日が沈んですぐに終わった。家に向かっている途中で俺の鎹鴉が君の情報を得て伝えに来てくれたから、俺も別の藤の花の家紋の家で体を休めてそのままここへ来たのだ」