第8章 お引越しとお宅訪問
そして現在は藤の花の家紋の家に2人はお世話になっている。
あれから更紗は棗と自分の足の傷を癒し、地面に座り込みある程度疲れを取ってから、2羽の鎹鴉に案内してもらい1番近い藤の花の家紋の家に辿り着いた。
もう夜中だと言うのに相変わらず嫌な顔一つせず、家の人は風呂、ご飯、布団まで用意して、傷の手当まで行ってくれた。
ようやく一息ついたところで、更紗は神久夜に煉獄家と本部への任務完遂連絡を預け、布団に体を滑り込ませる。
棗も鎹鴉を飛ばし終え、同じく布団に体を預けている。
「更紗ちゃんに煉獄様との関係を聞きたかったけど、もうさすがに眠いから明日の朝に聞かせてもらうことにするね」
激しい戦闘ですっかりその事を忘れていた更紗は、棗の言葉に一気に顔を赤くして掛け布団に顔の下半分を隠す。
「そ、そんな聞くほどの事では……」
「楽しみにしてるねー、また明日。おやすみなさい」
「棗姉ちゃん?」
言いたい事だけを言って棗はすぐに眠りに落ちてしまったが、技を連発し傷も多くあるのだ、それは仕方のないことだ。
「勝手に話して大丈夫でしょうか?……ふぅ、明日のことは明日考えましょう。おやすみなさい、棗姉ちゃん」
そうして更紗も心地よい眠りに落ちていった。
明日の朝、心配事が杞憂に終わる事は知るはずもない。