第8章 お引越しとお宅訪問
「炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天」
下から弧を描くように放たれた技は、鬼の胴体を抉るが頸には届かず鬼は更紗の腹を思い切り蹴り飛ばし、自らも後ろへ飛び、更紗に向かって血鬼術を繰り出してきた。
「目障りな女共!人間では考え付かぬほど醜く刻んで殺してやる!」
地面を転がり滑る更紗はどうにか受け身をとるが、腹を蹴られ猛烈な吐き気を催し、地面へ膝を着き嘔吐してしまう。
その横から棗が間に入り、更紗を庇うように技を放つ。
「風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐!」
その技により鬼の血鬼術により更紗に飛ばされた鋼の糸は切りふせられ、空中に消えていった。
「平気?!まだ戦える?」
更紗は口元を拭いながら頷く。
「お手間をかけました。まだ大丈夫です!」
「うん、じゃあ援護するから全力で走って!」
更紗は棗の指示通り立ち上がると、全速力で鬼に向かって走り出す。
まだ鬼の傷も癒えていないが、再生能力が高いのだろう……すでに塞がりつつある。
「同じ手を2度も食らう馬鹿がいるか!望み通り細切れにしてやる!血鬼術、鋼糸血殲(こうしけっせん)!」