第8章 お引越しとお宅訪問
一方、棗と鬼の姿を確認した更紗は鍔を弾き鞘から日輪刀を抜き出して、張り巡らされている鋼の糸を切りながら近付く。
「遅くなりました!私も共に闘います!」
棗はその声に反応して、鬼の攻撃をいなし更紗の元へ跳躍して来た。
「糸は手のひらから出てきて、空中、地面関係なく固定される。私の技で1度全て切るから、その隙に鬼に近付いて攻撃して!」
更紗より2つ階級が上にも関わらず、余裕を持てないほどの鬼だ。
きっと更紗1人では適わないだろう。
それを自分で1番理解しているからこそ、棗の言葉に素直に従う。
「はい!分かりました」
「もう指示は出せないと思うから、適宜お互いに最善と思う行動をとろうね」
ニコッと笑うと棗は一瞬後には鬼へ視線を戻し、技を放つために構える。
「風の呼吸 弐ノ型 爪々 科戸風!」
それと同時に刀を勢い良く振ると、4つの斬撃が鬼を起点として張り巡らされている鋼の糸を切り裂いて道を作る。
それを見逃さず、更紗もすかさず右手で刀を握り鬼へ技を放つ為に構える。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」
一気に間合いを詰め頸を狙うも避けられたので、地面に足をつけ力強く踏ん張る。