第8章 お引越しとお宅訪問
「注意する点は、風は炎より攻撃範囲が広いからお互いに気を付けないと危険かな。私が技を出す素振りを見せたら、距離を取りつつ鬼に近付いて更紗ちゃんは違う方向から攻撃してもらっていい?」
炎の呼吸は範囲攻撃と言うよりも、対象に重い一撃を食らわすものが多い。
その点を踏まえての棗の判断に正当性を感じ、更紗は頷く。
「かしこまりました。では、後ほど合流という事でよろしいでしょうか?」
「うん!合同任務で鬼も手強いと思うから、お互いに気をつけようね」
2人は互いの健闘を祈りながら、二手に別れて鬼の捜索を開始した。
それから半刻ほど、それこそ路地裏までくまなく更紗は捜索するも依然町は静かなままで異変はない。
「神久夜さん、そちらはどうですか?」
空から町中を見て回っている神久夜に声を掛けるも答えは芳しくなく、更紗の肩に止まり首を振っている。
「そうですか……今日は出ないのでしょうか?」
そんな更紗の疑問をかき消すように、少し離れた場所から風の呼吸の技と思われるものが空に打ち上がった。
更紗は即座に反応し、神久夜を空に放ち全速力でそちらへ向かった。