第8章 お引越しとお宅訪問
そんな蜜璃には劣るものの、更紗も数ヶ月で突破した事は周りの者からすれば驚くべき事実だ。
それもこれも更紗の力の影響もあるが、炎柱である杏寿郎と音柱である天元の指導が大きいだろう。
「私もです。基礎鍛錬すらした事のない私を杏寿郎君と天元様が辛抱強く鍛えて下さったから……」
「ちょっと待って!え?杏寿郎君って炎柱様の事?え?」
癖とは怖いもので、気が緩むとつい出てしまう。
「あーー……っと……そう呼んでほしいと言ってもらいまして……」
「あの炎柱様に?!どう言う関係」
『お待たせしました!』
更紗にとってはいい所で、棗にとっては悪い所で食事が運ばれてきた。
更紗がホッとしたのも束の間、女子であり同郷出身の棗の好奇心から逃れる事は許されなかった。
「任務後、藤の花の家紋の家に行くでしょ?そこで詳しく聞かせてね!」
「う……はい、分かりました」
満足気に棗は頷き食事を頬張り始め、更紗も急いで人より多くの食事を腹におさめていった。