第8章 お引越しとお宅訪問
その隊服を目に入れた瞬間、更紗は合同任務で共に闘う剣士だと悟り慌てて頭を下げた。
「初めまして!階級、辛。月神 更紗と申します!今回の合同任務、よろしくお願い致します!」
勢い良く挨拶をされ目をぱちくりさせたが、相手もそれに習う。
「階級、己。名前は桐島 棗。こちらこそよろしくお願いします。間違っていたら聞き流してくれて大丈夫なのだけど、もしかすると貴女、治癒する力を持ってない?」
驚き目を見開いている更紗の表情を見て自分の問い掛けは肯定されたのだと理解した棗は、両の手のひらを合わせ嬉しそうな笑顔になった。
だが、更紗は鬼殺隊では柱しか知らない自分の力をなぜか知っている棗に警戒し、表情を硬くし、いつでも距離を取れるよう身構える。
「待って待って!私もあの村出身で、小さい頃はよく遊んでたのだけど……棗姉ちゃんって呼んでくれてたの覚えてない?」
更紗は警戒を解かぬまま、まじまじと棗の顔を見る。
それと同時に幼い頃の村での記憶を必死に脳内でかき集め……僅かに体の力を抜いた。
「棗姉ちゃん……でも、棗姉ちゃんがなぜ鬼殺隊に?」