第8章 お引越しとお宅訪問
「合同任務だと聞こえた。間違いなく更紗の糧となる経験になるが、合同任務は向かう剣士よりも強力な鬼を相手にする場合が殆どだ。決して気を抜かず、他の剣士ともしっかり話して連携をとれ。分かったな?」
柱として継子への助言に更紗は頷き、自分も杏寿郎の背に腕を回す。
「かしこまりました」
その言葉を聞き、杏寿郎は更紗の体を離すと前髪の隙間から見える額に接吻をした。
「気を付けて行ってこい!千寿郎も父上も俺達の無事を願って待っている!」
更紗は優しく温かい煉獄家の2人の顔を思い浮かべる。
杏寿郎はもちろん、思い上がりでなければ自分が死ぬと悲しんでくれるであろう2人の顔を。
「はい!炎柱 煉獄杏寿郎様の継子として、必ず鬼を倒し生きて戻ります」
「うむ!必ずだ!では、俺は先に任務へ向かう。君も父上と千寿郎に報告してから任務へ向かえ」
更紗がもう一度頷くのを確認し、杏寿郎は玄関へと早足で移動して行った。
その姿を見送ると、更紗は部屋へ急いで戻り日輪刀を袋に入れてから腰のベルトに差し込み準備を完了させる。
「神久夜さん、お待たせしました。私達も向かいましょう」
気を引き締め、更紗も任務へ向かうべく玄関へと急いだ。