第8章 お引越しとお宅訪問
「更紗サン、アナタの任務も今マデヨリ遥かニ危険デス。炎柱様トハ違い、お1人での任務デハ御座いまセンガ、十分お気を付ケ下サイ。此処ヨリ南東デ、商店ガ多く並ブ港町デス。ソコにもう1人剣士ガいるので、合流シテ任務に当たッテ下サイ」
今まで更紗は単独任務のみであった。
杏寿郎に同行してもらったり、反対に同行させてもらった事はあるが、他の剣士との合同任務は初めてだ。
自然と緊張が走る。
「分かりました。私もすぐに準備いたしますので、部屋でお待ちください」
更紗も杏寿郎に続き、部屋へ向かう。
髪をきちんと結わえ直し隊服に身を包むと、先程、杏寿郎に様々な願いを込めてもらった羽織を1度ギュッと抱きしめてから袖を通す。
日輪刀は目立たぬように布で作られた袋に入れようとした時、襖越しに杏寿郎が声を掛けてきた。
「更紗、開けても大丈夫か?」
先程のくだりでそのまま任務へ旅立つのだと思っていた更紗は驚きながらも、そちらへ足を運び襖を開ける。
そこには険しい表情の杏寿郎が立っていた。
「どうかされましたか?そのまま旅立つと思っていまして……」
杏寿郎は更紗の言葉の途中で強く肩を抱き寄せた。