第8章 お引越しとお宅訪問
「そ、そんな大それた者ではございません!ですが、そうあれるように頑張ろうと思います」
「謙遜しなくていい!だが、これからも互いに強く優しくいられるよう頑張ろう!」
「はい!」
と2人が微笑み合い、再び茶をすすろうとした所へ、開け放っていた縁側から2羽の鴉が飛び込んできて、それぞれの相方の肩の上に止まる。
「キュウエンヨウセイダ!スグニジュンビヲオコナイ、ホクホクセイへススメ!ケンシニモフショウシャガデテイル!イソゲ!」
鎹鴉の指示を受けると、杏寿郎は表情を険しくして立ち上がる。
「更紗、悪いが先に準備を行いここを経つ!君も任務だろうから、くれぐれも気をつけるのだ!また任務が終わり次第、ここで会おう!」
更紗も立ち上がり、杏寿郎の手を握りしめて頷く。
「杏寿郎君の任務は危険と思われます。お気を付けて……ご武運をお祈りしております」
杏寿郎も力強く頷き、鎹鴉を肩に乗せたまま隊服に着替える為に自室へと向かった。
一方、更紗の鎹鴉、神久夜は杏寿郎の鎹鴉が話し終わるのを待っていたようで、杏寿郎の姿が自室へ消えていったことを確認して任務内容を伝え出す。