第7章 不穏な影と全貌
「わざわざ来てもらったと言うより、引き返してもらった。俺も宇髄も単独任務後に、別の場所の救援に向かえと指令が入ったのだ。そこで宇髄と鉢合わせ、任務完了後に共に帰路につき別れてしばらくして、更紗が攫われたかもしれんから手を貸してくれと願った」
「そうだったのですね!……でしたら、お2人ともお疲れなのでは……天元様はまだ戻られないのですか?」
更紗は部屋の中にいないと分かっていたが、なんとなくキョロキョロ見渡すも、いない事はやはり変わらず部屋の外に気配も感じず首を傾げる。
「帰ったら休むから問題ない。それと宇髄は先に帰った。奥方達も待っているし、君の話を聞き続けるとあの男を殺しかねんからってな」
「では、杏寿郎さんが大丈夫ならお家に帰らなくては!体調を崩されては大変です。天元様には、後日何かお礼をしなくてはいけませんね」
帰り支度をする前に、更紗は自分の痣が着いた足首に手を当て治療しようとするも、杏寿郎にその手を掴まれ阻まれてしまう。
疑問に思い更紗が杏寿郎の顔を見ると、なにか焦っているように感じられる表情をしていた。
「怪我の程度が分からない。治癒するならば、家に帰って腹を満たしてからにするんだ」