第7章 不穏な影と全貌
「隠れていないで出てきて顔を見せてくれないか?」
よほど何かが恥ずかしかったのか、珍しく首を振って胸元から離れようとしない。
「そういった仕草が加虐心をくすぐるのだ。何をするか分からんぞ?」
「で、でも心の準備が……」
「そうか、そこまで頑ななら仕方ない」
杏寿郎は腕を布団から出し、更紗の細い首をそっと指でなぞる。
こそばゆいのだろう、更紗の体はピクッと反応するも、まだ顔は胸におさまったままだ。
「えらく強情だな。そんなに虐めて欲しいのか?」
「違います!そうではないのですけれど……」
「けれど??」
更紗は、うぅ……と唸って更に杏寿郎にしがみついてしまった。
「よく分かった。君は虐められたいという事が」
もう一度布団の中に腕を戻し、今度はうなじから背中を伝い腰までをゆっくりと指で撫でながら首に唇をあてそのまま食む。
「ひゃっ!!も、もう勘弁してください!」
「君が顔を見せてくれれば終わるのだが、見せてくれぬなら色んな手を使って虐め倒すつもりだ。まだ顔は見せてくれないのか?」
「だって絶対顔が真っ赤です!恥ずかしくてお見せ出来ません!」