第7章 不穏な影と全貌
首を傾げる更紗に、天元は崩れ落ちそうになる。
隣りで内心怒り狂っているであろう男の腕を引っ張り、半ば引き摺るように部屋の外へ連れ出そうと移動する。
「姫さん、ちょっと待っててくれ。すぐに戻る」
「宇髄、詳しい説明を希望する!」
「わーったから、取り敢えず部屋出るぞ!」
そうして更紗はよく分からないまま1人、部屋に取り残されてしまった。
2人は宿の玄関口まで移動し、ようやく話を始める。
「それで、どういう事だ?」
天元は溜息をつきながら説明する。
「どうもこうもねぇよ、そのままの意味だ。俺達が姫さんを見つけた時の体勢を見て、あの野郎がそうしようとしてんじゃねぇかって派手に勘づいたから、煉獄達が山を下ってから確かめた。そうしたらその通りだった」
「斬り捨ててやりたいが、更紗がいる手前それも出来んか……あまりにもサラリと言うから頭に血が上ったが、あの子はそういう知識が皆無なのだな……」
杏寿郎の怒りもようやく地へと戻り、力が全身から抜けたのか壁に背を預けている。
「姫さんは俗世から完全に切り離されて、無駄な知識やあの屋敷で生きる上でその時必要ないものは何も与えられなかったんだろぉよ」