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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第7章 不穏な影と全貌


そう言って更紗は普段前髪で隠れている額を2人に見せる。
生え際付近ではあるが、目を凝らさずともハッキリと分かる傷が1寸ほど横向きに刻まれていた。

杏寿郎と天元は無意識に眉をひそめ、その時の更紗の情景を思い浮かべてしまう。

「さすがに顔なので治そうかと思ったのですが、額を切ると顔に血が流れますので出血量は多くなくても重傷に見えます。この時は1週間ほど暴力も治癒もさせられませんでしたので、それから出血量の割に重傷に見える傷は治しませんでした」

杏寿郎も天元も、自分が思っていたものより遥かに酷い扱いを受けていたという事実に息苦しさを感じ、自然と呼吸が浅くなっている。
それを更紗は2人の表情から読み取り、前髪を下ろしその手を杏寿郎と天元の手に重ねる。

「そんな顔なさらないで下さい。あの屋敷を生き抜いた勲章だと思えば誇らしい傷です!それにこの髪型だと見えませんし、尚且つお気に入りの髪型なので一石二鳥ですよ!」

本当にそう思っているのだろう。
力説する言葉は何の後悔も悲しみも感じさせない響きだ。

2人を元気付けようとしていない、更紗の本心を聞いて2人は思わず笑顔になる。
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