第7章 不穏な影と全貌
更紗は一瞬驚いたように目をパチパチさせた後に嬉しそうに目を細めて笑顔になった。
「杏寿郎君とお呼びしてよろしいのですか?お家柄上、あまり宜しくないと思いますが」
「呼び方など互いが良ければ問題ないだろう!む……それより話しの腰を折ってしまったな。こちらから知りたい事を質問しても構わないだろうか?」
杏寿郎は気持ちを切り替え、真剣な表情で更紗と天元に視線を向ける。
「私は構いません。そちらの方が私も話しやすいと思いますし……天元様もお聞きになりたいことがありましたら、何でも聞いてください」
「俺は元々この話に関してはお前らに任せてるから、そっちに派手に従う。何か気になる事あったらその都度聞いてくわ」
更紗は頷き、質問を促すように2人から見つめられた杏寿郎が慎重に言葉を紡ぐ。
「奥方が亡くなられてから、今日受けていたような暴力を受けていたのか?その時の傷はどうしていた?」
「亡くなられてすぐの頃は……そうですね。今日くらいか今日より酷かったかもしれません。その時の傷は患者さんが来ない時であれば治しませんでした。体中に怪我がある方が暴力は軽減されましたので」