第7章 不穏な影と全貌
(姫さんを利用する上で邪魔だから殺した……かも知れねぇって事かよ……エグいな)
2人は言葉が出て来ず、しばらく沈黙が続くも杏寿郎はずっと気になっていたことを聞くことにした。
「更紗のその話し方は幼い時からなのか?今はむしろその話し方すら愛らしいと思うが、たまに……言葉遣いが変わることがあるので気になっていたのだ」
言葉遣いが今まで2度ほど変わっていたことが疑問を持った要因だろう。
1度目は吹き出し、2度目は驚きつつも杏寿郎にとっては初めて聞く怒声だったので、怒るという行為をあの男に対して行えた事に安心もした。
「両親と住んでいた時は村の女の子の話し方でしたが、あの当主に屋敷に関わる人全てに対して敬語を強要されましたので、それがクセになったのだと思います。もし両親の元で育っていれば、杏寿郎君、天元君とお呼びしていたかもしれませんね」
少し照れくさそうに笑う更紗に、珍しく杏寿郎が顔を赤くした。
天元も天元で、いつもならばそんな杏寿郎を率先してからかっていたが、柄にもなく呼ばれ慣れない敬称に照れているようだ。
「更紗!その呼び方、新鮮で良いな!それで行こう!」