第7章 不穏な影と全貌
その内容はこう言ったものだった。
更紗を攫ったのは先程の男、当主に当たる人とその姉だった。
あの屋敷は代々続く有名な医者の家系だったが、当主の奥方は昔に大病を患って子供を成せない体になり、その影響で当主から責められ気を病んでいた。
姉に関しては子供が1人おり、すごく優しい男の子であったが医者としての才に恵まれず、早々に見切りをつけられていた。
このままでは代々続いた家系が潰れると危惧した当主とその姉が、偶然河原で子猫を治癒する更紗を見つけ連れ去った。
もちろん薬の処方や治療の手間が省ける為、当主も働くことを辞め患者だけを連れて来て更紗に治癒させていた。
まだ奥方が生きている時はそれなりの生活が出来ていた。
子供がいなかったからか、更紗を可愛がり、毎食、満腹まではいかずとも常識の範囲の量を女中に用意させていた。
精神的に安定してる時は話をしたり、たまに読み書きを教えてくれていた。
奥方は更紗を両親の元に返してあげたいが、自分がこんな状態な上、夫と義姉がどこで攫ってきたか言わず途方に暮れるだけだったと言う。