第2章 追い風
杏寿郎は明後日の方向を見ながら考え込む。
「ふむ、1度休息をとったキリだな!」
するとしのぶに大きな溜め息を吐かれてしまった。
「あなたはそれで問題無いかもしれませんが、この子は鍛錬も何も積んでいない女の子です。連れてくる時はきちんと配慮してあげてくださいね」
有無を言わさぬ静かな叱責に、杏寿郎は明後日の方向を見ながら
ウッと唸るしか出来なかった。
「あの、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。ご存知だとは思うのですが、私は月神更紗と申します。よろしくお願いします」
更紗の丁寧な自己紹介に、しのぶはフワッと花のように表情を綻ばせた。
「初めまして、月神更紗ちゃん。私は胡蝶しのぶです。煉獄さんと同じく柱として鬼殺隊に属しています。また薬学に精通していますので、隊士の皆さんの怪我の治療などもしています。今後とも、よろしくお願いしますね」
嬉しい事は嬉しいで返す、きっと笑顔には笑顔で返すのがいいのだと杏寿郎からの助言から導き出し、更紗も笑顔で返す。
「胡蝶様、よろしくお願いします」
「あらあら、可愛らしい子ですね。煉獄さんの眼力に影響されないか心配になります。それよりこちらのお水を飲んでください。少しお塩を入れていますので、体調も良くなると思いますよ」