第7章 不穏な影と全貌
「……それは俺が聞いてもいい話か?煉獄が聞いてない事もあるだろ?」
更紗と天元は杏寿郎の反応を伺うも、当の本人はキョトンとしている。
「いや、宇髄が共に聞く分には何も問題ない。むしろ色々世話になってるから、聞いてもらった方が良いだろう。それより更紗、今その話をして大丈夫なのか?別に今でなくとも……」
杏寿郎の言葉に更紗はゆっくり首を左右に振る。
「きっと今話さないと、次お2人に話せるのがいつになるのか分かりません」
杏寿郎はしばし考えた後、頷いて立ち上がる。
そうして部屋の隅で羽を休めている自分の鎹鴉と更紗の鎹鴉、神久夜を腕に乗せる。
「先に父上と千寿郎に君の無事と、少し宿で休んでから帰ると伝えよう。2人とも酷く心配してたからな」
更紗は慌てて立ち上がり、杏寿郎の腕に止まっている神久夜を自分の腕の中へ移動させた。
「そうですよね……気付かず申し訳ございません。天元様、すぐに終わりますのでお待ちくださいね」
まだ日が高いので部屋は明るく、窓際に立つと鮮明に更紗の顔や手が目に映る。
「それくらいなんともねぇ。2人に知らせてやってくれ」