第7章 不穏な影と全貌
その言葉に更紗の顔は一気に赤みを帯び、顔を両手で隠し俯いてしまった。
(それでは何かあったと自分で告白してるようなものだが……ふむ、俺は構わんがな!)
天元は更紗の反応に気まずそうに笑いながらも、2人の前に腰を下ろす。
「待たせたな。だが、金輪際あの野郎は姫さんに近付くことすらしねぇだろうから安心して大丈夫だ。1人でよく耐えきった」
ポフポフと頭に軽く何度か刺激を与え、更紗を労う。
その隣りで杏寿郎が同意するように何度も頷いている。
「い、いえ、実はあの人と顔を合わせたのは、お2人が来てくださる少し前だったんです。お2人の姿を目にした時は一瞬幻かと思いましたが、本物で心からホッとしました」
顔をまだ少し赤らめたままフニャッと笑う更紗に、杏寿郎は心臓を鷲掴みにされたような感覚に陥り、天元は可笑しそうにその様子を見て笑っている。
2人のそれぞれの反応がよく分からないながらも楽しそうにニコニコと更紗は見ていたが、急に2人に頭を下げた。
「更紗、どうした?」
「お2人の時間が許されるならば、あの屋敷で何があったか聞いていただけませんか?助けていただいて、そのまま何も話さないのは何か……違うと思いますので」