第7章 不穏な影と全貌
そうして唇から離れ首筋に沿って唇と舌を這わせ、所々で軽く肌を吸うと、その度に更紗の小さな口から甘い吐息と声が漏れる。
それが杏寿郎の耳を刺激し、どんどん意識が朦朧とするような感覚に陥ってくる。
そのまま胸元の膨らみで唇を止め、強く肌を吸い自らの跡をその白い肌に刻む。
「あ……杏、寿郎……さん」
「このまま君を押し倒してしまいたい……」
(だがそろそろ宇髄がここへ到着する……このまま押し倒すのは……とてつもなく良くない!)
杏寿郎の意識はいきなり鮮明になるが、更紗を驚かせないよう乱れた着物の襟をゆっくり元に戻す。
「更紗の前だとこうも抑えが効かなくなるとはな。大丈夫か?怖くなかったか?」
まだ夢の中にいるような表情だが、更紗はコクコクと頷き怖くなかったと意思表示をする。
「なんだか、頭の中がフワフワして……不思議な感じですが、気持ちよかったです」
(あぁーーー!!俺の決意を崩してくる!天然の末恐ろしい少女だ!!)
杏寿郎は煩悩を振り払うため頭の中で数字を数え、大きく息を吸って吐いてを繰り返す。
そこで襖が勢い良く開き、天元が姿を現した。
「あ、悪ぃ。邪魔したか?」