第7章 不穏な影と全貌
更紗が男と合間見えた頃、杏寿郎と天元は柱の力を存分に使い屋敷のある山の麓までたどり着いていた。
「この山の頂に屋敷がある、行くぞ」
杏寿郎の顔は、今朝門の前で天元に見せていた怒り狂ったような表情に戻っている。
(ま、今はしゃーねぇか。気持ちは痛いほど分かる)
天元の返事も聞かぬまま、常中を使用しての全速力で山を駆け上がっていく。
「あーー……!!おい!木刀といえど技は使うなよ!人間相手だと一撃で派手に死ぬぞ!」
「分かっている!叩きのめすまで!」
(本当に分かってんのかねぇ……)
天元は心の中でそう思うも、今の杏寿郎には何を言っても響かないと悟り、自分も同じようにして杏寿郎の後を追う。
「また……奴らが原因で更紗が泣いているような気がするのだ!もし泣かせていたら……一撃だけではすまさん!もう更紗の前に姿を現す気が起きないほど叩きのめす」
杏寿郎のあまりの怒りに柱である天元の体に悪寒が走った。
(派手に殺しちまう前に止めねぇと……)
そうして屋敷が視界に入る頃、更紗の今まで聞いたこともない怒声が2人の鼓膜を激しく揺らせた。