第7章 不穏な影と全貌
神久夜がようやく煉獄家へたどり着いた頃には、あれから更に半刻が過ぎていた。
地面を駆ける筋骨隆々な鼠と、空から神久夜が居間へ飛び込むのはほぼ同時だった。
鼠は天元へ、神久夜は杏寿郎達家族へ更紗の無事と居場所を伝える。
「宇髄、今日は任務はあるのか?」
「ぁん?さすがにお前と昨日ド派手に暴れたんだ、今日は今んところ任務は入ってねぇよ」
「奇遇だな、俺も今のところ入っていない!助太刀してもらえると大変助かる!」
「今更だな、おし!派手に乗り込むか!」
「うむ!」
そう言って杏寿郎はベルトに日輪刀を意気揚々と差し込むも、3人が慌ててそれを止める。
「おい!お前、その日輪刀で殺めるつもりか?!俺は構わんが、あの子が悲しむだろう!」
「父上、お言葉ですが更紗を事もあろうか、あの屋敷へ連れ戻したのです!悪鬼の所業、日輪刀で切り伏せて参ります!」
「父上も変に焚き付けないで下さい!兄上、人を殺めれば更紗さんと共にいられませんよ!」
「ふむ、それはいかんな!」
「分かったら木刀持ってこい。多少派手にぶちのめすくらいなら許されんだろ!行くぞ!」
許されるのかは不明だが、杏寿郎はもちろん天元も木刀を腰に差して例の屋敷へと急いだ。