第7章 不穏な影と全貌
更紗は足の縄を解き終わると、神久夜の頭を撫でる。
いつも思っていたが、毛並み?羽並みが綺麗でさわり心地がいい。
「素敵なお名前ですね。あなたにぴったりです。では、神久夜さん、私は無事だと杏寿郎さん達にお伝えください。あの屋敷にいますが、どうにかして脱出しますと。お願い出来ますか?」
神久夜は頷き窓へ移動するが、思い出したように振り返り部屋の隅を見る。
更紗もそちらへ視線を移すと、木の実が数個転がっていた。
「少ないデスガ、少シデモお腹ヲ満たシテクダサイ。すぐに助ケと共二戻りマス。ソレマデどうかご無事デ」
「はい。木の実、ありがとうございます!神久夜さんもどうかお気を付けて」
窓から飛び立つ神久夜を見送り、更紗は急いで木の実を腹に入れる。
この際、味なんて言っている場合ではないので、更紗にとってこの木の実はとても有難かった。
お腹も少し満たされ、鉄の重い扉を開けようと試みるがやはり鍵がかかっていてビクともしない。
壁は木の板で出来ているが、今の更紗は丸腰なのでさすがに破ることは難しそうである。
「日輪刀があれば……」