第7章 不穏な影と全貌
杏寿郎の言葉に是と言うようにチュウと一声鳴いて頷くのを確認すると、杏寿郎は門の前まで移動し忍鼠を道へ放つ。
「頼む、更紗を探してくれ」
今度は何も反応はなかったが、勢いよく地面を駆けて行ったので恐らく頑張ってくれるだろう。
「後は……宇髄を待つだけか」
拳を強く握り、門へ強く当てる。
気持ちを落ち着かせようにも、なかなか一度頭に上った血は下がってくれない。
更に拳に力を入れると、鋭い痛みがピリッと走り手から血がポタポタと地面へ流れていく。
そこへ音もなくスッと現れた人影が一つ。
待ち望んでいた男、天元であると杏寿郎も認識するが感情を抑えるのに必死で声をかけられずにいた。
「煉獄……なんて顔してんだ。手、派手に血ぃ出てんぞ」
「あぁ……大丈夫だ」
全く大丈夫ではない杏寿郎の肩にポンと手を置く。
「炎柱、しっかりしろよ。そんな顔してっと姫さん見つけた時怖がられる」
天元の言葉に更紗の顔が杏寿郎の頭の中に浮かび、僅かに表情が緩む。
「すまない……協力感謝する!」
「それでこそ煉獄だ!派手に探し出すぞ!」
こうして更紗を捜索する手筈が整った。