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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第7章 不穏な影と全貌


杏寿郎はまだ帰っていないが無事に任務を全うしたと鎹鴉が知らせてくれた為、なんの心配もなく帰りを待つだけのはずだった。

今から千寿郎と朝餉を作り、杏寿郎が無事に帰宅して槇寿郎も居間へやって来て4人で朝餉を取り、その後杏寿郎が一休みしてから約束していた離れへ引越しをするはずだった。

だがそんな穏やかに過ぎるはずだった1日は、呆気なく崩れ去ってしまう。

更紗が落ち葉を集めようと地面へと屈んだ瞬間、頚椎に強い衝撃が走った。
人体には鍛えられない箇所があるが、ここもその一つだ。

(誰……?!)

薄れゆく意識の中では、悪意ある攻撃を向けてきた相手を確認する事が出来なかった。
どうにか意識をギリギリまで保ち、自分の手足が縄で縛られ目隠しされ、猿轡をされ、何かに押し込められるところまでは理解したが、それ以降は何も感じられなくなった。

更紗の意識がなくなった頃、二人の男は縛り上げ駕籠へ放り込んだ更紗を人気のない道を通り攫っていく。

それは杏寿郎が家に到着する僅か半刻前の、一瞬の出来事だった。
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