第6章 柱合会議とお食事会
その言葉にハッと我に返り、更紗は慌てて立ち上がってお館様と柱にお辞儀をする。
その時に杏寿郎を見つめると笑顔で頷いたので、フワッと笑顔で返して柱の後ろを回って1番向こう側にいる実弥のそばに跪いた。
「不死川様、失礼致します」
頭の中に疑問符を沢山浮かべている実弥に先程の笑顔を向け、血が滲んでいる包帯を解いていく。
刀傷のような深い切り傷に一瞬怯むも、その傷に手を当て力を発動させた。
更紗にとっては見慣れた銀色の粒子が手から溢れ出て、痛々しい傷を優しく包み込んでいく。
「なっ?!傷が……」
傷を治癒されている実弥の驚きは柱全員の心の中を代弁している。
その力を実際に目の当たりにしている杏寿郎としのぶを除き、今まで更紗の鍛錬を手伝っていた天元を含め、全員が息を呑んだ。
更紗が力を止めるまでのたった数秒で、傷は塞がりその跡さえ残していない。
呆然と傷のあった場所を見つめる実弥の顔を更紗が覗き込む。
「不死川様、痛みは残っていませんか?」
更紗の声に弾かれたように実弥は驚いた表情を向けるが、更紗の心配げな顔に思わず笑顔になる。
「何が起こったか分かんねぇが、あんがとなァ」