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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第2章 追い風


「あの、煉……杏寿郎さん、私、お金持っていなくて……」

まるで自分が情けないと言っているかのような声音を、杏寿郎は笑い飛ばした。

「ハハッ!今までの環境で持っていた方が驚きだ!普段着を買うくらいの甲斐性はある。更紗は何も心配しなくていい。男からの贈り物は、笑顔で受け取る方が喜ばれるぞ!そして俺もその方が嬉しい!」

何かを買い与えて貰うなど、それこそ名前を呼ばれなかった期間と全く同じな更紗はソワソワとむず痒い程の感覚だが、杏寿郎が嬉しいと思ってくれるのであれば、その方がいいのだろうと思い素直にその気持ちを受け止めた。

「色々ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします」

「うむ!安心して迷惑をかけなさい!では時間が惜しいので早速ここを出て、まずは腹ごしらえだ!腹が減っては何とやらってやつだな。では行くぞ!」

朝餉も食べていないのに、早朝から辺りに響きそうな大声を出せる杏寿郎に促されて部屋を出る。

杏寿郎は6尺はいかないものの、それに近い長身なので食欲は並の人間より多いのは予想出来たが、更紗もその食欲に負けないくらいの大食らいで、杏寿郎が感心していたのはここだけの話しである。
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