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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第2章 追い風


「君は……」

どうしてそんなに笑っていられる?

と聞いてみたかったが、質問をして過去の辛い出来事をこれ以上この場で思い出させるのも酷だと思い、煉獄は咄嗟に言葉を呑み込んだ。

「これから自由だ!鍛錬に励み、合間に息抜きを挟んで今まで分を取り戻すといい!俺も協力する!そして俺の名前も杏寿郎と呼ぶといい!名前で呼び合えば嬉しい事が2倍だ!」

杏寿郎の呑み込んだ言葉は感じ取れなかったが、元の普通の世界を取り戻してやろうという優しさは感じ取れた。

「杏寿郎……様」

「違う!それではあまり変わらん!杏寿郎だ」

「杏寿郎……さん」

ゴニョゴニョと様子を伺いながら、まるでこれでいいでしょうかと確認するように杏寿郎に視線を向ける。

「まぁ、及第点だな!そのうち呼べるようになればいいから、今はそれでいこう!」

許可がおりて更紗もホッと安心する。
その様子を微笑ましく見ていたが、今日は何分多忙である。
ゆっくりしていては何かを切り捨てなければ行けなくなるので、杏寿郎は居住まいを正し更紗と向き合った。

「更紗、今日はやるべき事が多くある!まずは朝餉、その後に手頃な着物を買ってお館様のいらっしゃる鬼殺隊本部に向かう」
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