第6章 柱合会議とお食事会
天元の不満事を明後日の方向を見ながらも律儀に返す杏寿郎は、絶対に更紗の隣りに座らせないと言うように天元が動く方に合わせて自分も動いている。
「お前、えらく大切にされてんな」
「はい!いつでも大切にしてくださるので、恐縮してしまうくらいです」
少し悲しげな笑顔の更紗に実弥は首を傾げる。
「恐縮する必要ねぇだろ?煉獄がそれくらいしてぇ女だって事だから、大切にされとけ」
実弥の言葉遣いは荒いがその荒さが全く気にならないような穏やかな声音に、更紗の心はポカポカと温かい気持ちになりフワリと笑顔になる。
「ありがとうございます。私、兄弟姉妹は居ないのですが、なんだかお兄様と話しているような気持ちになります」
普段杏寿郎と千寿郎を見ているので兄が弟にかける言葉の優しさを更紗は知っている。
ちょうど、杏寿郎は千寿郎にこのように心が温かくなるような声音で話しているのだ。
一方実弥はポカンとするも照れくさそうに頭を掻き、笑顔で更紗の頭にポンと手を置く。
「なんか煉獄が大切にする気持ちも分からなくもねぇな。まぁ俺からすれば女と言うより妹って感じだがな」