第6章 柱合会議とお食事会
朝餉にと入った食事処は開店早々店仕舞いする事となった。
杏寿郎は元々大食らいだったが、更紗に関しては継子として鍛錬が日々厳しさを増す中、体を使えば使うほど食欲が増進して杏寿郎を除く煉獄一家が驚くほどだ。
店側としては食材が余るより、全て無駄なく使い切れたと笑顔でお見送りをしてくれ、暖簾をそのまま店の中へ入れていた。
そして今は髪飾りや髪紐を取り扱っている露店を見ている。
「何か欲しいものがあるのか?」
真剣に髪紐を見比べている更紗を微笑ましく見ていたが、あまりにも悩むものだから思わず杏寿郎は声を掛けた。
「はい」
そう言って真剣に杏寿郎の顔を見て、すぐに髪紐に視線を戻しウンウン唸ったかと思えば、一度頷いて1つの髪紐をソッと手にすると店主に手渡す。
無事に髪紐1本を手に入れたが、更紗はなぜか嬉しそうではなく緊張したように顔を強ばらせている。
「妥協して買ったのか?」
だがそれも違うようで立ち止まって落ち着かない様子で杏寿郎と髪紐を交互に何度も見やる。
杏寿郎は首を傾げながらも更紗が立ち止まるものだから、つられて立ち止まった。