第6章 柱合会議とお食事会
「まだ夜明けは遠い。このまま寝れば、嫌でも悪夢を見るまい。安心して眠るといい」
更紗は視線だけで辺りを確認し、暗さから寝てからさほど時間が経っていなかったのだと驚く。
「このままだと、いい夢しか見れないですね。でも、起こしてしまってすみません。私、たまにあの屋敷の夢を見て、目が覚めて杏寿郎さんのお家だと分かってホッとするんです」
「うん」
「今日は杏寿郎さんがいてくださって、すごく幸せな気持ちです。杏寿郎さん、私を見つけて、そばにいて……私を……選んで下さって……ありがとうござい、ます」
悪夢にうなされ、寝ていたのに体力を使ってしまったのだろう。
すぐに小さな寝息が杏寿郎の耳に届いた。
「俺こそ、選んでもらえて光栄だ」
寝息を立てる更紗の頭を撫でながら更紗があの屋敷で受けていた仕打ちに苛立ちを感じ、顔が険しくなっていく。
(反吐が出るな。夢の中であっても姿を表す事に嫌悪感しかわかん)
だが、こんな事を考えていては更紗が敏感にそれを感じとり起きてしまうかもしれないと思い、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「おやすみ、更紗。俺は何があってもそばに居る。だから、どうか更紗も俺のそばにいてくれ」
まだ夜は長い。
杏寿郎は腕の中に更紗の存在を感じながら再び眠りについた。