第6章 柱合会議とお食事会
更紗は気持ちのよい微睡みから、ゆっくりと覚醒していく。
だが、そこに広がるのは宿の部屋ではなく、そばに杏寿郎もいない。
ぼやける視界が徐々にはっきりと輪郭を確認して絶望する。
「ここは……あの屋敷の部屋……杏寿郎さん!!どこですか?!」
立ち上がり姿を探すも見当たらない。
広くない部屋に声が響くが、もちろん杏寿郎の返事もない。
「そんな……私は夢を??ここが現実で杏寿郎さんや千寿郎さん、お義父さまが全て夢……?」
ペタンと床に崩れ落ち涙をポロポロ零す。
そこへ鉄の重い扉が開く音が響き、男が1人入ってきた。
その姿を確認した更紗は恐怖で固まり、体の熱が一気に引いていく感じがするが、心臓は激しく鼓動を始める。
「患者だ、早く来い」
「い、いや!杏寿郎さんはどこですか?!会わせて下さい!」
男は面倒臭そうに顔を歪めると、なんの躊躇いもなく更紗の頬を力一杯叩く。
「頭がおかしくなったか?!誰のおかげで飯が食えていると思ってる!早く来い!」
嫌がる更紗を男は無理矢理引っ張り部屋の外へ出し、引き摺るようにして廊下を歩いていく。
(杏寿郎さん!!お会いしたいです……!あなたは本当に夢だけの方なのですか……?)