第6章 柱合会議とお食事会
だが髪をきちんと拭いてやらなければ、きっと更紗はそのままにしてしまう。
家でも濡れた髪を結い上げ、ある程度乾いてから髪を下ろし頭皮の水分と髪の水分を拭いとっていた。
今までの環境が環境なので杏寿郎は何も言わなかったが、よく風邪を引かないものだと感心しつつ、いつか風邪を引くのではと内心ハラハラしていたのだ。
「更紗の髪は綺麗だな。ずっと触っていたくなる」
「ありがとうございます。お母さんも……綺麗だったように思うので、きっとお母さん譲りです」
その声があまりにも寂しげで、会わせてやれない現状に心が痛む。
「すまない、会わせてやれなくて」
杏寿郎の謝罪に更紗は驚き、勢いよく振り返って杏寿郎の手を握る。
「違うんです!その、会いたい気持ちはあるのですが、今のはどんな雰囲気だったかなぁって考えていまして。それに、私にはたくさんの優しい人達がそばにいてくれてます。何より杏寿郎さんが隣りにいてくださるだけで、いつも心がポカポカして優しい気持ちになれるんですよ」
本当に子供の純粋な気持ちを持ったまま大人になってしまったのだと杏寿郎は改めて感じた。
子供のように嫌だとかは言わないものの、嬉しい事は嬉しいと思った事を素直に伝えるようになってきた。