第5章 色変わりの刀と初任務
女性を送り届けるとしっかり別れ際に帯刀していた事も口止めし、被害者の捜索を開始する。
「更紗サン!」
上の方から共にこの町へ来た鎹鴉の声が聞こえ、首を上に向けるとフワッと肩に降り立って来た。
「鬼退治、アリガトウ御座います。鬼ハ見つけラレマセンでしたが、町の木陰に被害者ラシキ人を見つけました」
更紗は鎹鴉の頭を撫でてやり、暗い夜道を走り出す。
「最短の道順で案内願います!」
それに応えるように空へ飛び立ち、更紗の様子を確認しながら案内を続けた。
先程、鬼が座っていた木からさほど離れていない木の幹に背をもたせかけてぐったりとしている人影を見つけた。
更紗は急いで駆け寄り脈を確認する。
「まだ間に合うかもしれません……すみませんが、人が来ないかだけ見てていただけますか?人の姿を確認次第、お知らせ下さい!」
「畏まりマシタ!」
鎹鴉の返事を聞くと、意識のない被害者の怪我の様子を確認する。
その人は男性で、二の腕を噛みちぎられかけたのか肉が剥がれかかっている。
あの鬼は食事しようとしたが、それよりも本能的に稀血であり自らの命を奪わんとする鬼狩りの更紗を優先したようだ。