第5章 色変わりの刀と初任務
女性は人外の化け物と更紗を交互に見遣り、明らかに普通の人間である更紗の言葉に何度も頷いた。
「あなたは私が守ります。ですが、こんな夜更けに女性の1人歩きは危険ですよ?」
出来る限り女性が落ち着きを取り戻せるように笑顔を向けると、地面へ下ろし自らの背で庇うように後ろへ隠す。
自分より年若い少女に言われても説得力はないが、女性と言えど人を1人抱えながら化け物に追いつかれない程の速度で走り抜ける少女だ。
見た目には説得力がなくとも、超人的な身体能力によって説得力が嫌がおうにも出てくる。
「鬼ごっこは終わりかしら?じゃあ、その可愛いお顔から醜く溶かしてあげる!」
追い付いてきた鬼はその言葉通り、更紗の顔面目掛けて勢いよく扇をふるい液体を飛ばす。
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり」
それを技で弾き返し、間合いを詰める。
「それはお断りします。杏寿郎さんが悲しんでしまいますので」
(この鬼は遠距離型、距離があると厄介ですが詰めれば問題ありませんね)
鬼は間合いを取る為に後ろへ飛ぼうとするが、細腕から繰り出せるとは到底思えない力で引き戻される。
「離しなさいよ!」
そして更紗はニコッと笑う。
「分かりました」