第5章 色変わりの刀と初任務
「皮膚が溶けるのは嫌ですが……私が的になっていれば、周りに影響は少ないはず」
更紗は鬼に自分だけを狙わせ、家屋などに出来る限り被害が出ないようにしているようだ。
だが、鬼と血鬼術に気を取られ横道から出てきた人に気付くのが遅れてしまった。
強い衝撃が体に走るも、どうにか体勢を整えて弾き飛ばしてしまった人を見る。
年若い女性が驚き目を見開き地面に尻もちを着いているので直ぐに逃げられそうにない。
こうしてる間にも鬼は喜び勇んで迫ってくる。
「あらあら、私の食事が2人になったわ!どちらから喰ってやろうかしら」
もう更紗に考えている暇はなくなった。
「失礼します」
「え?えーー?!」
突然抱き上げられ走り出された女性はいきなりの事で気が動転してしまっているのか……それとも後ろの鬼を見て恐怖しているのかどちらかは分からないが、更紗の肩の皮膚が破けそうな程の力で握ってくる。
(痛みで気がそがれそう……)
そんな痛みにもどうにか耐え町から脱出し、開けた河原へ鬼を誘導する事に成功した。
「突然申し訳ありませんでした。非常事態なので、理由は聞かずわたしのそばにいて下さい」