第5章 色変わりの刀と初任務
「炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり」
前方の広範囲の攻撃に鬼は一瞬怯むも、流石と言うべきか人を多く喰って力を付けているだけのことはある。
胸元から扇を取り出し、瞬時に応戦してくる。
扇を勢いよく開き流れるようにひと振りすると、先程の水のようなドロッとした液体が流れるように技にぶつかり相殺してしまった。
「大した事無いわね!鬼狩りが聞いて呆れる!あら?あなた凄くいい匂い、もしかして稀血なのかしら!」
目をギラギラと卑しく歪め、嬉しそうに何度も血鬼術を放ってくる。
それを更紗は技を使わず体の動きのみで全て避け、徐々に後ろに下がっていく。
「私は強くありませんから。でも、あなた1人くらいなら余裕で倒せますよ」
そう言うが早いか更紗は鬼に背を向け来た道を全力で戻る。
「そう言う割には逃げてるじゃない。私、鬼ごっこは大好きよ!」
鬼がその後を追い掛けるも一向に距離が縮まらないばかりかどんどん離されていく。
(このまま開けた所に誘導しなくては)
更紗は鬼が着いてこられるように少し速度を緩め、後ろを伺いながら走り続けた。
速さは全く脅威ではないが、やはり血鬼術が厄介である。
あれに直撃してしまうと間違いなく全身が爛れてしまうだろう。