第5章 色変わりの刀と初任務
拭った指を再度確認すると、薄皮1枚ではあるが溶けており指紋が薄くなっている。
そして自身が先程いた付近の木の上に視線をやると、顔は枝葉に隠れて見えないが枝の上に女性らしきものが腰を掛けていた。
こんな夜更けに普通の女性が木登りをするなどありえない。
「あなたは鬼狩りかしら?」
ストンと地面に軽やかに降りてきて顔が露わになり更紗は鬼だと確信した。
元は美しい女性だったのだろう面影はあるが今は禍々しく変貌している。
左右に2つずつ目があり口元はベッタリと血が付着し、ニヤッと笑うとより一層不気味にうつった。
「私は鬼殺隊 月神更紗です。あなたを滅しに来ました」
刀を向けつつ辺りの気配を探り被害者を探そうとするも、鬼が音もなくフッと近寄ってくるので集中出来ない。
「随分余裕ね、片手間で私の頸を斬るの?」
「余裕なんてありません。ですがあなたが傷付けた人を私は助けなくてはいけませんので」
(まだどのような血鬼術か把握出来ていません。水のような皮膚を溶かす何かをどこかから出しているはず……それを先に確認しなくては!)