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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第2章 追い風


煉獄の小さな独り言に僅かに反応して、更紗は閉じられていた瞼をゆっくりと開いていく。

「ここは……あ、煉獄様!!申し訳ございません!」

一瞬で頭が覚醒し、文字通り布団から飛び起きて正座をして頭を下げた。

(寝坊してしまいました……あんなに世話をかけたのに私の方が遅く起きるなんて……)

「ブフッ!!」

吹き出す声に更紗はおずおずと顔を上げ煉獄の様子を伺うと、笑いをこらえるように右の拳を口元に当てて小刻みに震えていた。

「あ、あの……煉獄様?」

目の前の煉獄の状況がうまく理解出来ず、戸惑いながら上目遣いで見つめ続ける。

「す、すまない!あんなに綺麗に飛び起きて正座する人間を初めて、見たものだから……可笑しくてな……フフッ。おはよう、月神少女!正座をする必要も頭を下げる理由もないから、楽に座りなさい」

怒らせていなかったと安心した更紗は安堵のため息つく。

「俺はあの屋敷で君がどう過ごしていたかは知らない。だが、君が想像するよりも外は生き辛くない!怯える必要はない!朝起きたらおはよう!夜眠る時はおやすみ!出来るな?」

「はい!!」

(なんだか昔に両親と過ごしていた時みたいな気持ちになります。胸の辺りがポカポカするような……)
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