第5章 色変わりの刀と初任務
槇寿郎は鎹鴉を抱きかかえる姿に目を丸くしていたが、事情を話すと更紗と鎹鴉を見比べ笑いを堪えていた。
初任務の報告には少し心配げではあったものの頑張って来なさいと背中を押してくれ、千寿郎に関してもそれと同じだったが弁当を作ると意気込んでくれた。
その後、杏寿郎にも鎹鴉が更紗とは別の任務を伝えにやって来たので、2人揃って違う目的地へ出発となった。
2人がそれぞれ隊服と羽織に袖を通して日輪刀を腰に差し髪を結い上げ準備が完了。
玄関の前で千寿郎と槇寿郎に見送られる形となっている。
「兄上、更紗さん、ご武運をお祈り致します!」
「しっかり務めを果たして無事に帰ってこい」
激励を送ってくれた2人に返事を返し門へと歩き敷地外へ出るが、ここからすでに方向が違い2人は向かい合っている。
「杏寿郎さん、お気を付けて。必ずこのお家でお会いしましょうね」
笑顔で言う更紗に杏寿郎も笑顔で返す。
「あぁ、更紗もくれぐれも気を付けるんだ。任務を無事に終わらせて、ここに帰っておいで」
そうして互いが鎹鴉に導かれて背を向けて歩き出すも、更紗は勢いよく振り返り大声で叫んだ。
「杏寿郎さん!!」