第5章 色変わりの刀と初任務
しばらくそうしていると震えはおさまり、代わりに甘えるように襟元をギュッと握りしめ顔を擦り寄せてきた。
(愛らしい!!これだけで1週間は心穏やかにいられるぞ!)
杏寿郎が幸せそうにニコニコしていると、更紗が大きな双眸でチラリと遠慮気味に上目遣いで見つめ出す。
(愛らしすぎて目が潰れる!!)
心の中で悶絶しているとは露知らず、更紗は小さな声で言葉を発した。
「杏寿郎さんは、呆れていないのですか?」
本当に幸せそうにニコニコしながら問いに言葉を返す。
「更紗に対して呆れる事は何も起きていない。何だったら、今幸せ過ぎてどうしようかと考えていた」
「フフッ!ありがとうございます。私も幸せ過ぎてどうしようかと考えていたところです」
そのままニコニコと互いに笑い合い、2人で幸せを噛み締める。
「昼餉まで、このまま眠っても構わないだろうか?朝から色々あって眠くなってきた」
その言葉通り、杏寿郎の目は眠そうに半分ほど閉じられている。
「はい。私も実は少し眠かったのです」
杏寿郎は寝る前にと更紗に口付けし、フワッと抱き締め直しゆっくり瞼を閉じていく。
その様子を見ていた更紗も、いつの間にか気持ちの良い微睡みに落ちていった。