第5章 色変わりの刀と初任務
「考え事自体は悪くないが、自分の体を大切にする事を忘れるのは良くないぞ!」
笑顔に変わりはないが、内心怒っていることが伝わる。
こめかみ辺りがピクピクしているのだから、間違いないだろう。
「す、すみません……甘露寺蜜璃様の事を考えていまして……」
「更紗ちゃん!考え事をしてドジするなんて可愛い!」
もう本当にキュンッ!!とときめくような音が効果音で入りそうな位の声音が2人の耳に入ってきた。
そちらに視線を向けると、桃色で毛先にかけて淡い緑のたっぷりした髪の毛に、大きく潤んだ瞳……と胸元が驚くくらい開いた隊服を着た女性が立っていた。
(甘露寺様、可愛いです!でも、あの服はもしかすると前田様が……?)
色んな思いを巡らせる更紗をよそに、杏寿郎が蜜璃に声を掛ける。
「出迎え早々すまない!甘露寺、見たところ任務帰りのようだが、何か用事でもあったか?……ん?!更紗と面識があるのか?!」
杏寿郎は混乱したように2人を交互に見やる。
蜜璃はニコニコとするだけだが、更紗はブンブンと顔を勢いよく左右に振っている。
「お名前は以前に杏寿郎さんから伺いましたが、お会いするのは……初めてですよね?」