第5章 色変わりの刀と初任務
胸の前で握り拳を作る更紗の姿が心強く見えるかといえば、全く見えない。
何分攻撃特化型の炎の呼吸を自身の能力で筋肉を常に回復しては強化を繰り返し、発動させているのだ。
普通の女子と比べると筋肉量は勿論多いがそれでも歴代炎の呼吸剣士、柱とは比べ物にならない程華奢である。
「派手にいいじゃねぇか!気合いも時には必要だ!」
「うむ!その心意気は評価に値する!では、せっかく宇髄もいる事だ!鍛錬を」
「ごめんくださぁーい!!煉獄さん、いらっしゃいますか?」
しよう!と言いかけたところで聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「む!甘露寺か?今日はやけに客人が多い。更紗、紹介するから着いておいで」
「はい!」
更紗は前に教えて貰った柱の名前を、記憶の中から懸命に引っ張り出し玄関に向かって歩きながら思い出す。
(確か甘露寺様は……杏寿郎さんの元で鍛錬を積み柱になった女性の方……恋柱の甘露寺蜜璃様!そうです、甘露寺蜜璃……)
「更紗!!危ない!」
杏寿郎に腕を引き寄せてもらって事なきを得たが考え事に没頭し過ぎて、本日2度目の上がりからの転落をしてしまうところだったようだ。