第5章 色変わりの刀と初任務
「はい。それは承知しております」
杏寿郎はその言葉に頷くも、心配そうに眉をひそめる。
「柱としても師範としても、俺は君を信頼している。今はまだ階級は一番下だが、恐らく実力的には更紗は他の受験者と比べると高いと思われる。それを本部も理解しているはずだ」
「つまり、他の受験者よりも強い鬼と闘う可能性が高いということですか?」
杏寿郎の心配そうな表情、言葉から推測できる。
そしてすぐに返事がないということは、それが正解であると物語っていた。
言葉を発することが出来ない杏寿郎の代わりに、天元がその答えを話す。
「姫さんは炎柱と音柱の鍛錬をこなして最終選別に挑んだろ?他の受験者は柱の鍛錬なんて受けてねぇ。数多くいる育手のもと、その育手の判断で最終選別を受けてる。元柱の育手に運良く育てて貰えりゃ万々歳の状況でだ」
すなわち更紗は諸手を挙げて喜ばなければいけないのだ。
しかし、柱に鍛えてもらうということは上からの期待も必然的に大きくなる。
そしてより危険度の高い任務を言い渡される。
「肝に……銘じておきます。ですが、私は杏寿郎さんと天元様に鍛えていただきました。そう簡単には負けませんので、安心してくださいませ!」