第5章 色変わりの刀と初任務
杏寿郎の堂々たる惚気にもようやく天元は慣れてきたようで
はいはい
と適当に返した。
「俺の継子の話は置いておいて、これで隊服も日輪刀も揃った!いつ任務が来てもおかしくない状況だ!初めから強い鬼を相手取ることはないと思うが、血鬼術くらいは教えておくのでしっかり聞いておくように!」
杏寿郎の真剣な表情に更紗は生唾をごくりと飲み込んだ。
もちろん音柱である天元も煉獄家の息子である千寿郎も、血鬼術は知っているようで2人も真剣な眼差しで更紗を見つめる。
「更紗が藤襲山で闘った鬼は所謂雑魚鬼に分類される。連日一晩中相手にするのは厄介だが、万全の状態であれば更紗も余裕で倒せただろう?」
更紗は藤襲山での出来事を思い出し頷く。
雨が降って太陽が1日出なかったり、稀血ゆえに大量の鬼に囲まれさえしなければ、一体一体は手こずる相手ではなかった。
「だが任務で倒さなければならない鬼は、そこの鬼とは訳が違う。多くの罪なき人々を喰らい、力をつけている。君くらいの年齢の者と同じく、喰った分だけどんどん強くなっていく。そうしていつしか血鬼術と言われる力をつける」