第5章 色変わりの刀と初任務
刀身は黒く、今は何ともない刀のようにうつるが、両手で刀を握りしめていると鎺の方から徐々に色が変わっていく。
それは杏寿郎と同じ燃えるような鮮やかな赫だ。
刀身の先まで染まるのを待ち、刀をゆっくり下ろす。
「さすが炎柱様の継子ですね。いつ見ても色が変わる様は美しい」
「はい!鉄穴森様、このような立派で素敵な日輪刀をありがとうございます!大切に使わせていただきます!」
更紗の笑顔にフワフワと鉄穴森は癒されるように雰囲気がさらに柔らかくなった。
「いえいえ、喜んでいただけて何よりです。それに日輪刀を仕上げたのは更紗さんです。また刃こぼれしたりしましたら、すぐに仰ってください。いつでも鍛え直しますので」
そう言って鉄穴森は茶も飲まず立ち上がった。
「鉄穴森さん、よろしければもう少し休んでいかれても大丈夫ですよ」
杏寿郎の提案にも鉄穴森は首を左右に振る。
「皆様の団欒のお邪魔はしたくありませんので。それでは失礼します。あ、見送りは結構ですので、このままお寛ぎ下さい」
矢継ぎ早に鉄穴森が一方的に話し、風呂敷やその他の荷物をもって素早く出ていった。